前回の記事でポストクロフォードのテイクポイントを調べましたのでもう一度まとめておきます。Nは相手のギャモン率、そこにかけられているのが2倍キューブ時の相手のギャモンバリューです。
フリードロップのテイクポイント2away P=504away P=33.89+1.05N6away P=38.68+0.57N奇数awayのテイクポイント3away P=2.4+N5away P=3.91+0.55Nでは実際2awayならパスでもそれ以外の偶数awayではテイクになるレスポンスがどの程度あるのか調べてみました。解析は3plyアナライズですので大雑把な傾向だけでも確認できればいいのではないでしょうか。
表の見方左はポストクロフォードでのトレーラーのオープニングムーブです。相手が最善手を指すとは限りませんので何パターンか用意しました。
上段がリーダー側のレスポンスの出目で真ん中にはその組み合わせのレスポンス後のキューブアクションを左から2away、4away、6awayの順に示しました。
Tはテイク、Pはパス、Bは期待値0.01以内に収まったボーダーラインです。
この色の網掛けをしている組み合わせが2awayならパスでも4以上、あるいは6awayでテイクに変わるレスポンスです。例えばオープニングで26、レスポンスで13なら相手2awayの時のみパス、あとはテイクという事です。レスポンスの13、56が変わりやすいのが分かります。
ではチェッカープレーに違いは出るのかというと、大いに出ます。同じフリードロップであっても2awayだけはテイクしてしまえばギャモン負けのリスクが全くありません。DMPなのですから勝率が最も高いプレーをすればいいだけです。しかし、それ以上のaway数ですとギャモン負けを回避することも必要になってきます。レスポンスの時点でこの違いが顕著に出るのが
この色の網掛けをしているゾロ目です。
例えば2away側12から2ゾロを振ると
b6-w5/7

pips b=167 w=164
1. Cubeful 3-ply
13/11(2) 6/4(2) Eq.: -0.793
0.552 0.170 0.008 - 0.448 0.123 0.006
2. Cubeful 3-ply
24/20(2) Eq.: -0.846 ( -0.053)
0.539 0.127 0.005 - 0.461 0.083 0.002
3. Cubeful 3-ply
24/22(2) 6/4(2) Eq.: -0.847 ( -0.054)
0.538 0.150 0.006 - 0.462 0.104 0.003
4. Cubeful 3-ply
24/22 13/11 6/4(2) Eq.: -0.874 ( -0.080)
0.532 0.159 0.008 - 0.468 0.128 0.005
13/11(2) 6/4(2)が勝率が最も高いため最善手です。相手が2away時の2ゾロはこれが最善になることがほとんどです。しかし、ゾロ目はアンカーを前進させることができる目でもあります。勝率もそれほど落とさないため3away以上ではギャモンセーブに走ります。例えば相手が4wayなら
1. Cubeful 3-ply
24/20(2) Eq.: -0.655
0.539 0.129 0.005 - 0.461 0.082 0.002
2. Cubeful 3-ply
24/22(2) 6/4(2) Eq.: -0.726 ( -0.071)
0.538 0.152 0.007 - 0.462 0.103 0.003
3. Cubeful 3-ply
13/11(2) 6/4(2) Eq.: -0.746 ( -0.092)
0.553 0.171 0.008 - 0.447 0.124 0.006
先ほどのムーブが大きなエラーとなってしまいます。
この色の網掛けが2箇所ありますがこの出目でアウターヒットが勝率最大になる珍しいパターンです。
3ゾロの方だけ見てみます。
b6-w5/7

pips b=167 w=160
1. Cubeful 3-ply
24/15* 24/21 Eq.: -0.770
0.558 0.161 0.013 - 0.442 0.126 0.006
2. Cubeful 3-ply
24/15* 13/10 Eq.: -0.784 ( -0.015)
0.554 0.172 0.013 - 0.446 0.130 0.007
3. Cubeful 3-ply
24/21(2) 6/3(2) Eq.: -0.787 ( -0.017)
0.553 0.155 0.008 - 0.447 0.098 0.003
4. Cubeful 3-ply
24/21(2) 8/5(2) Eq.: -0.788 ( -0.019)
0.553 0.170 0.009 - 0.447 0.100 0.003
5. Cubeful 2-ply
24/21(2) 13/10(2) Eq.: -0.798 ( -0.029)
0.550 0.151 0.006 - 0.450 0.095 0.003
通常のスコアにてチェッカープレーを選ぶ場合は勝率が高い、ギャモン勝ちを増やす、ギャモン負けを減らすの3要素から最善手が決まるとするとポストクロフォードのリーダー側はこのうちギャモン勝ちを増やすという要素は全くいらないため、いつものいい手が全く価値のない手になってしまうこともあります。
例えば34ダウンからの4ゾロ
b6-w3/7

pips b=167 w=160
1. Cubeful 3-ply
24/20(2) 13/9(2) Eq.: -0.476
0.590 0.167 0.008 - 0.410 0.075 0.002
2. Cubeful 3-ply
24/16*(2) Eq.: -0.515 ( -0.039)
0.603 0.154 0.010 - 0.397 0.098 0.003
3. Cubeful 3-ply
24/16* 13/9(2) Eq.: -0.573 ( -0.097)
0.593 0.196 0.017 - 0.407 0.108 0.005
ヒットして9ポイントメイクはDMPでなくとも最善手に近い手で、いい手に違いないと無意識にプレーするかもしれませんが、このスコア状況では大きなエラーとなります。通常ならなぜこの手がいい手なのか、それはヒットして勝率を上げ、ビルダーを下してギャモン勝ちを増やしているため少々のギャモン負けはペイするからです。しかし、この状況ではそのうちギャモン勝ちを増やすことに意味がなくなり、ギャモン負けを増やす部分だけがリスクとして覆いかぶさってくるわけです。
さて、テイクすると決まったあとはレスポンスに限らずその後のプレーも全く同じ考え方でプレーしていきます。いったいどの程度ギャモン負けを怖がればいいのか、やはりギャモンバリューが関係してきます。
ギャモンバリューをV、相手のギャモン率をNとするとリーダー側はギャモン率をN%以上減らせるなら勝率をV×N%減らしてもいいことになります。そして、これは今まで見てきた
レスポンスムーブの選択にも同じことが当てはまるのです。
ポジションを1つ見てみます
b6-w3/7

pips b=148 w=135
1. Cubeful 3-ply
24/23 9/4 Eq.: -0.690
0.270 0.048 0.001 - 0.730 0.110 0.003
2. Cubeful 3-ply
9/4 5/4 Eq.: -0.727 ( -0.037)
0.306 0.059 0.001 - 0.694 0.161 0.005
このページの一番上を見ればギャモンバリューが分かります。4awayの相手のギャモンバリューは1.05です。という事は勝率を減らす以上にギャモン負けを減らせればそちらがベストムーブとなります。この例では勝率を3.6%減らしていますが、それ以上にギャモン負けを減らしているのでそちらがベストとなります。トレーラー側も同じ考え方です。ギャモン勝ちをN%以上増やせるなら勝率をV×N%減らしてもそちらがベストになります。
おまけでオープニングについて2つ・2awayポストクロフォードのリーダー側がオープニングを取ったら何をパスするのか。解析ソフトや解析の深さで微妙に変わるので明言は避けておきますがベストムーブならGNU Backgammon 2plyロールアウト360回で0.01を超えるパスは14と34のみでした。
・相手にフリードロップの権利がある場合のトレーラー側はオープニングでスロットするとエラーが大きくなります。ヒットされるなどのいいレスポンスをされた時しかテイクしてもらえず、あとはパスで逃げられるためスロットしたポイントをメイクできることがないからです。
例えば12
b5-w6/7
pips b=167 w=167
1. Cubeful 3-ply
24/23 13/11 Eq.: +0.939
0.500 0.136 0.005 - 0.500 0.132 0.005
2. Cubeful 3-ply
24/21 Eq.: +0.929 ( -0.010)
0.493 0.124 0.005 - 0.507 0.127 0.004
3. Cubeful 3-ply
24/23 24/22 Eq.: +0.921 ( -0.019)
0.487 0.122 0.005 - 0.513 0.132 0.004
4. Cubeful 3-ply
13/10 Eq.: +0.916 ( -0.024)
0.490 0.140 0.006 - 0.510 0.140 0.007
5. Cubeful 3-ply
13/11 6/5 Eq.: +0.905 ( -0.034)
0.501 0.143 0.006 - 0.499 0.144 0.009
通常はいい手になるスロットがここではランクを下げます。
長くなったのでまとめておきます。・ポストクロフォードにおいてフリードロップの権利を得たら相手が2awayなら50%、それ以外のスコアではそれぞれのテイクポイントを超えていればテイクする。(このページの先頭参照)
・テイクするのであればレスポンスムーブからゲーム終了まで次の法則でプレーする。Vは2倍キューブ時の相手のギャモンバリュー。(このページの先頭参照)
リーダー側 ギャモン負けをN%以上減らし勝率をV×N%減らすプレーがあればそれを選ぶ
トレイラー側 ギャモン勝ちをN%以上増やし勝率をV×N%減らすプレーがあればそれを選ぶ